◆内容証明郵便とは

内容証明郵便とは、「いつ、誰が誰宛に、どのような内容の文書を送ったか」を公的に証明してくれる郵便のことで、郵便局で手続きすれば個人でも送ることができます。
内容証明郵便はトラブルの予防やそれを解決する際、とても有効な手段となることがあります。
弁護士などの法律の専門家も、相談者のトラブル予防や解決のために動き出す時、意外にも内容証明郵便の作成から始めることが多いと言われています。

とはいっても、内容証明郵便は弁護士のように法的な専門家だけが作成できるものではありません。
簡単な書き方、出し方のルールやポイントを押さえておけば、あなたも作成できます。


◆内容証明郵便の書き方とルール
内容証明郵便を書くときには、以下のポイントを掴んでおくとよいです。


●用紙について
まずは、どのような用紙を使うべきかがですが、これについては特に定めはありません。
手書きで書く場合には、内容証明郵便用の用紙がありますので、それを買って使うと便利です。
ちなみに、内容証明郵便作成用の用紙(3枚複写)も販売されています。
用紙は文房具店などでも販売されていますが、最近では各種のネット通販でも購入することができます。
パソコンで作成する場合には、普通のA4の用紙などにプリントアウトする方法で問題ありません。

●手書きか、パソコンか
内容証明郵便では、手書きかパソコンかという点で定まったルールはなく、どちらでも対応できます。
一般的にどちらが多いのかというと、かつては手書きで送る人が多かったようですが、最近ではパソコンで作成する人がほとんどです。
パソコンなら、簡単に同じ文面を3部プリントアウトすることができますし、手書きより訂正も楽だからです。
また今は、「電子内容証明郵便(e内容証明)」と言って、インターネット上で内容証明郵便を作成・発送できる便利なサービスがあります。
これを利用すると、郵便局に行かなくても内容証明郵便を発送できるので、日中に仕事をしている方や郵便局が遠い方などの場合、非常に有用です。


●書式のルール
内容証明郵便では、書式が決まっていますので注意が必要です。
せっかく文書を作っても、書式が違っていたら受け付けてもらえないのです。
内容証明郵便の字数・行数の制限は、縦書きか横書きかで異なります。

・縦書きの場合の字数・行数の制限
行20字以内で、1枚26行以内

・横書きの場合には、以下の3パターンがあります。

横書きの場合の字数・行数の制限

1行20字以内、1枚26行以内
1行13字以内、1枚40行以内
1行26字以内、1枚20行以内

一般的には、横書きにして1行20字以内、1枚26行以内にすることが多いです。
※横書きの場合、1行13字以内、1枚40行以内、もしくは、1行26字以内、1枚20行以内でも可能です。


なお、電子内容証明郵便の場合は、字数・行数の制限はなく、通常の内容証明郵便と比較して、1枚の用紙に記載することができる文字数が多いことが一般的です。


◆使える文字・記号と、字数の数え方
内容証明郵便では、記号や①などの文字、太字や下線の文字などを使うことも可能です。
%やmなどの記号は1文字ですが、①などの〇で囲った記号や㎡などの記号は2文字と数えます。
①などの記号を使うと、文字数オーバーになりやすいので、数え方を間違わないようにしましょう。


◆同文のものを3通作る
内容証明郵便を利用するときには、全く同じ内容の文書を3通作成しないといけません。
複写の用紙を利用するか、パソコンのプリント機能を使って「全く同じ」ものを作成しましょう。


◆2枚以上になる場合はどうするの?
内容証明郵便の内容が1枚に収まらず、2枚以上になる場合には、ページとページの間に契印が必要になります。
内容証明郵便には記名(または署名)と押印が必要ですが、契印には、記名(署名)の横に押印したものと同じものを使う必要があります。


◆書き間違えたときの修正方法
内容証明郵便の文書を作成している最中に、間違うこともあります。
その場合には、間違った箇所に二重線を引いて消し、欄外に「〇字削除」と書き、そこに押印をする必要があります。
このとき利用する印鑑も、記名の横に押印したものや契印に使うものと同じ印鑑である必要があります。
また、加筆する際には、二重線を引いた横に、加筆する文章を書いて訂正し、欄外に「〇字削除、〇字加入」と書き、そこに同じように押印します。
ただ、このとき1行20字以内などの文字数制限を超えることができません。


内容証明郵便を出すとき、郵便局で手続きをすることが多いですが、その際、その場で訂正を求められることもよくありますので、印鑑を持っていくことをおすすめします。


◆封筒の書き方
内容証明郵便を出すときには、封筒に相手と差出人それぞれの氏名(社名)と住所を書く必要があり、その表示は、本文の表示と一致している必要がありますので、注意が必要です。
間違いがあると受け付けてもらえないので、本文と封筒を照らし合わせながら、確実に同じ方法で記載しましょう。

◆郵便局での出し方
まず、内容証明郵便は、すべての郵便局で取り扱っているわけではありませんので、事前に取り扱いがあるかどうかを調べて郵便局に行く必要があります。
また、発送に行くときには、差し出す文書3通と封筒のほかに、ペンと印鑑を持っていきましょう。
その場で訂正を求められることがあるためです。
文書を出すときには、郵便局の職員に対し「内容証明郵便で出します」とはっきり伝えましょう。
そうしないと、書留などにされてしまうおそれがあります。
また、相手本人だけに受けとってほしいときには、本人限定受取郵便にしておくと良いです。

内容証明郵便を送ると追跡番号がつきますので、郵便局のホームページの追跡サービスを利用すると、今どこにあるのか、持ち戻し、再配達、相手が受けとったかどうかなどを確認することができます。
相手に配達されたことを確認するために、配達証明のサービスをつけておきましょう。


◆内容証明郵便を送るためにかかる費用
内容証明郵便の送付にかかる費用は、
・郵便料82円と書留料430円
・内容証明料430円(1枚目。2枚目以降は260円増し)
・配達証明料310円の合計1252円が基本です。

速達にすると280円増し、本人限定受取にすると100円増しとなります。



◆弁護士名義で内容証明郵便を送ることも可能
内容証明郵便を送るとき、差出人の氏名や連絡先を記入する必要があります。
自分で作成して自分で発送することももちろん可能ですが、内容証明郵便の作成や発送を弁護士に依頼することも可能です。
弁護士に依頼すると、「〇〇代理人弁護士△△△△」などとして、弁護士名義で内容証明郵便を送ってもらうことができます。
そうすると、相手にかかるプレッシャーがより大きくなり、問題を解決できる可能性が高まります。

たとえば、借金の督促状を弁護士名義で送ってもらった場合、相手が裁判をおそれて自ら支払いに応じてくる可能性などがあります。
相手に強いプレッシャーを与えたければ、弁護士に内容証明郵便の作成と発送を依頼すると良いでしょう。


弁護士費用は、事務所によって様々ではありますが、定型的でシンプルな内容であれば、3~5万円程度で弁護士に内容証明郵便作成を依頼することが可能です。
また、弁護士が代理人として交渉に当たることを前提に、内容証明郵便を作成、送付する場合は、内容証明郵便作成に5~10万円程度の費用がかかることがあります。
その他、司法書士や行政書士も可能で、弁護士より費用が安いところも少なくありません。


◆書き方


 ▼不倫慰謝料請求のための内容証明

 令和〇年〇月〇日
 東京都○区△町1丁目2番3号
 (受取人)殿
      埼玉県○市△町3丁目2番1号
                 (差出人) 

            通知書

冠省、○○○○殿、私○○○○は、貴殿と夫○○○○が、令和1年〇月頃から令和〇年〇月まで約〇年〇月にわたり密会を重ね、継続的に不貞行為を行ったことにより、著しい精神的苦痛を被りました。

そこで、この度私は、貴殿に対して、不貞行為を理由とする損害賠償として、金150万円を請求し(民法709条・710条)、令和〇年〇月末日までに、金〇〇〇万円を口座(金融機関名・・・・、口座種別 普通、口座番号・・・・・・・、口座名義人○○○○)振込されるようお願い申し上げます。

なお、期限までにお振込みを確認できない場合は、・・地方裁判所へ訴訟を提起する考えでおりますことを申し添えておきます。

草々




 ▼貸金回収のための内容証明

                令和〇年〇月〇日
 東京都○区△町1丁目2番3号
 (受取人)殿
        群馬県○市△町3丁目2番1号
                  (差出人) 

           貸金請求書

  私は、貴殿に対し、令和○○年○月○日、
 金100万円を、利息年1割、弁済期を平成
 18年12月31日としてお貸ししました。
 しかし弁済期をすぎておりますが、いまだに
 返済していただいておりません。
  つきましては、本書到達後10日以内に、
 金100万円およびこれに対する令和○○年
 ○月○日から完済まで年1割の割合による利
 息をお支払いいただきますよう、本書をもっ
 てご請求申し上げます。
  上記期間内にお支払いなき場合は、訴訟・
 強制執行等の法的手段をとらせていただきま
 すことを念のため申し添えます。


 

▼未払い賃金請求のための内容証明

                 令和〇年〇月〇日
 東京都○区△町1丁目2番3号
 ××株式会社
 代表取締役 (受取人)殿
         千葉県○市△町3丁目2番1号
                   (差出人) 
          
通知書


  私は、貴社従業員として

20〇〇年○月○日まで勤務していた者です。

20〇〇年○月○日〜20〇〇年○月○日まで、

〇時間の時間外労働に従事していましたが、

合計○○万円をお支払い頂いておりません。



つきましては、本書面到達後〇週間以内に、

上記賃金を下記指定の口座まで、お支払いくださいますよう請求します。

お支払いに応じて頂けない場合は、法的手段を予定していますのでご承知おきください。





▼退職届の内容証明

              退職届

この度、一身上の都合により令和△年△月△日をもって退職いたします。

以上



令和○年○月○日

通知人

東京都〇区〇丁目〇番〇号
山田 太郎 (押印)

被通知人

東京都〇区〇丁目〇番〇号
株式会社○○
代表取締役 ○○ ○○